中国政府主催で毎年開かれる国際会議をきっかけに、無料通信LINE(ライン)の中国版である微信(ウェイシン)のグループチャットができた。ある日、そこで起業家のアイデア募集のイベント告知があった。
主催者は告知主に「すぐに『退出』してください」と通告。「以後、気をつけますから」と拒否されると、何度も「退出」を要求し、結局、一方的に「チャットは役割を終えたので解散する」と閉じてしまった。
中国当局は国際会議のたび、取材する記者へグループチャットの参加を呼び掛ける。記者会見の時間や場所がこのチャットで一斉に告知される。記者にとっても不明な点を事務局に問い合わせることができて便利だ。
会議終了後、ある記者が「これからもこのつながりを保ちたい」と提案。記者が連絡を取り合う手段とすることに主催者の当局も同意していたはずだ。
それでもネット上の監視を強める中国だけに、国際会議に関係ないイベントの告知を「目的外使用だ」と見過ごさない。会員制交流サイト(SNS)の利点は使うが、政府に都合の悪い情報まで流される可能性を考えたのだろうか。 (秦淳哉)