上海の空の玄関口、浦東国際空港で春節の様子を取材していたら、中国・吉祥航空のカウンター前に「共享行李(こうり)」(荷物シェア)と書かれた看板があった。自転車シェアなら知っているが、荷物シェアって何?
看板のそばにいた男性職員に聞くと「うちだけが始めた新サービスです」と誇らしげに説明してくれた。
エコノミーの無料預け荷物の重さ制限は国内線20キロで、超過すると有料になる。Aさんが15キロの荷物を預けたとする。カウンター職員が「余った5キロ分を別のお客さんにシェアしてもいいですか?」と聞く。Aさんが了承すれば、5キロオーバーの荷物を持ち込んだBさんがその余り分を使うことができる。荷物シェアを利用するBさんに金銭的な負担は生じない。
春節に飛行機で移動する客は大量の荷物を抱えており、航空会社にとって超過料金の収入は少なくないはず。中国でこういう顧客目線のサービスに出くわすのは珍しいことだ。
もっとも後日、吉祥航空に問い合わせたところ「荷物シェアは3日間限定で終了しました」。金に結び付かないサービスは、やはり長続きしないようで。 (浅井正智)