中国の習近平国家主席は、首を少し左に傾けて立つ癖がある。北京の人民大会堂で行われたコンゴ共和国大統領の歓迎式典を取材した際、カメラの望遠レンズ越しに見た習氏は、猫背ぎみで首を傾け、明らかに疲れているように見えた。
それもそのはず。北京で開かれた中国アフリカ協力フォーラムにアフリカ53カ国の首脳らを招き、立て続けに会談をこなしていた。
この間、共産党機関紙・人民日報の一面は、習氏とアフリカ各国首脳との会談記事で埋め尽くされた。いずれもアフリカ側の発展に寄与する決意を語る習氏と、謝意を伝えるアフリカ首脳という内容だ。両者の握手写真が添えられ、一面に「習近平がスーダン大統領と会談」「習近平がナミビア大統領と会談」という見出しが10以上も並ぶ。
ネット上では「まとめて書けばどうなのか」「ほかにニュースはないのか」などという批判が上がった。似たり寄ったりの記事を書く記者も大変だろう。
ただ、人民日報に掲載された習氏の写真はどれも穏やかなほほ笑みをたたえ、疲労の色は全く見えない。カメラマンの腕には感心した。 (中沢穣)