上海のオフィスビルの出入り口に顔認証システムを搭載したゲートが設置された。ここで働く中国人女性は抵抗感があると口にしたが、嫌なのは顔認証そのものではなく、データをビル管理会社が扱うことだという。
個人情報を誰に収集されると最も不安か-。中国社会科学院が行った調査がある。大半を占めたのは、不動産などの仲介機関(37%)と、デパートやホテルなどの商業機関(31%)。こうした機関は「面識のない人」(27%)よりも信頼度が低い。
意外なのは政府部門がわずか3%だったことだが、「よく分からない企業のプロモーションには使われないから」(上海人女性)だという。
顔認証システムの社会実装スピードはますます速くなり、無人レジや自動販売機も「顔見せ」するだけで決済できるようになり、空港では画面の前に立つだけで、飛行機の搭乗時間やゲートへの経路が示される。
逐一試すのだが「外国人だから」という理由で多くが利用できず、そのたびに不満と安心の混在した気持ちになる。見渡してみると、こうした機能を使おうと試みるのも私だけであることが多い。 (白山泉)