北京で久しぶりに生活を始めて驚いたことの一つは「人の少なさ」。大型ショッピングセンターに行ってもガラガラで高級飲食店は閑古鳥。どこに行っても混雑、空席待ちが当たり前だったのが、うそのようだ。ネット購入が広がったことも一因だが、利用した店舗から新型コロナウイルスの感染・陽性者が出た場合、自宅で隔離措置を受ける恐れもあるため、不必要な外出を避けているようだ。
このためスーパーのレジ待ちも苦にならないが、先日飲料水1本を買おうと並んでいたら、前にいた女性が「私の買い物は量が多いから先に精算していいよ」と譲ってくれた。気持ちの余裕がマナーの向上につながっていれば、厳しいゼロコロナも悪いことばかりではない。
一方、街中の小さな雑貨屋に入ろうとしたら、店主から「欲しい品があったら言ってくれれば取ってくる」とやんわりと入店を断られた。入店時に示したPCR検査の陰性証明から日本人と分かったためのようだが、外国人に関わるのが面倒だからか、それとも外国人に感染させてはいけないとの思いやりからなのか。後者だと信じたいが、果たして。 (新貝憲弘)