「高考」と呼ばれる1年に1度の大学入試が6月、中国各地で行われ、今年も940万人の受験生が参加する「爆受験」となった。
日本のセンター試験に似ているが、獲得点数によって志望校をランクごとにいくつか選び、合格する大学が決まる。中国の入試は激烈さで有名だが、受験生にとっては自分の将来が決まる重要なイベント。農村部の受験生はメディアに「今の貧しい環境を変えるには高考で頑張るしかない」と語っていた。
一方で不正受験も多く、カンニングを予防するために金属探知機や外部から発信された不審な電波を探知する装置を導入するケースもあるという。「身代わり受験」を防止するため、山東省では今年から高考の期間中に学生が授業を休むことを禁止してしまった。
文化大革命の期間中、一時中断を余儀なくされた高考。競争はあっても公正な試験が実施されている幸せを、受験生はどこまで感じているのだろうか。
「勉強したかったが、文革のために試験を受けることができなかった」。知り合いの中国人が残念そうに話す姿を、ふと思い出した。 (秦淳哉)