中国・丹東 おふくろに会いたい
出張していた北朝鮮と国境を接する中国東北部・遼寧省丹東で、夕食を取ろうと、市内のしどけない韓国料理店に、地元の知人と足を運んだ。テーブルにメニューを届けに来た若い男性に、料理について尋ねると、訛(なま)りのきつい朝鮮語の説明が返ってきた。...
View Article上海 着任で知った処世術
上海に来て2カ月余りだが、間もなく支局を引っ越す。現在入居するビルが競売にかけられ、新しいオーナーが乗り込んでくるなり、立ち退きを求められたからだ。どうやら全館改装して、高い家賃で貸し出そうとしているらしい。 当初、新オーナー側は「1月20日までに退去しなければ、裁判所に強制執行してもらう」と言ってきた。契約期間が残っているのに、である。...
View Article北京 全人代で熱心な取材
中国で開かれていた全国人民代表大会(全人代=国会に相当)では、海外メディアはもちろん、国内の各省・自治区からも地元記者が北京に駆けつけて取材活動を繰り広げた。省トップの書記や各地の代表らが公式の場でどんな発言をするのか。ニュースとして報じるためだ。...
View Article中国・烏蘭察布 朝鮮戦争 記憶刻む碑
中国・内モンゴル自治区の丘陵地が広がる烏蘭察布(ウランチャブ)。とりわけ小高い丘の上には、高さ5メートルほどの御影石の石碑が立つ。石碑の正面には、「人民英雄永垂不朽(人民の英雄は、永遠に不滅である)」と金色の文字が刻まれている。...
View Article中国・張家口 くまモンがスキー!?
少し前の話だが、北京市内からバスで3時間かけ、河北省張家口市のスキー場を訪れた。2022年北京冬季五輪の公式会場だ。北京周辺は雪は降っても積もらないため、スキー場は100%人工雪。山々が連なる中、1つの山だけ真っ白なのは不思議な光景だ。...
View Article中国・丹東 彼を遠くから見送る
中国東北部、北朝鮮と鴨緑江を挟んで国境を接する遼寧省丹東(たんとう)。市中心部の丹東駅からは毎朝10時、北朝鮮の首都・平壌行きの旅客列車が出発する。午前9時前になると、改札手前の手荷物検査場は、たくさんの中国製品を抱え込んだ、中朝双方の商人らが列をなす。...
View Article中国・無錫 夜桜の新しい見物法
日本人有志が中国江蘇省の無錫(むしゃく)で、桜の植樹を始めて今年で30年となり、現地を訪れた。 日もとっぷり暮れた後、市政府外事弁公室の幹部に「夜桜見物に行きましょう」と誘われた。ところがライトアップされた桜を見た瞬間、「これは違うでしょう」と思わず声をあげてしまった。...
View Article北京 突然の終了にため息
「今月末で閉店します」。気軽に利用していた支局近くのハンバーガー店が突然、営業中止を宣言した。店の入り口に張られた告知を見て驚くとともに、「またか」とため息が出た。 これまでも北京で突然の閉店を何度も経験してきた。おいしいパンを提供してくれた店やコーヒーショップが知らないうちに姿を消していた。イタリア料理店がいつの間にか火鍋の店に模様替えしたこともあった。...
View Article上海 スマホで宿題即返信
「ニーハオ」「謝謝」「再見」の3つだけを覚えて上海に来た妻は目下、当地の大学で各国の留学生に交じって週5回、中国語の授業を受けている。 指導はなかなか厳しい。先生は毎日、どっさり宿題を出してくれる。次の授業で提出すればいいのではなく、その日のうちにやり終えて、スマートフォンでノートを写真に撮り、中国版LINE(ライン)の微信で先生に送らなければいけない。程なくして正解が返ってくる。...
View Article北京 騒がしい会話 今は昔
10年前、北京で満員の地下鉄に乗ると、耳栓が必要なほど騒がしかった。学校の同級生、会社の同僚、家族、友人、カップル。中国人はだいたい誰かと一緒に行動する。みんな話し好きで、大声で驚き、笑う。 日本に一時帰国したり、出張で米国に行ったりして地下鉄に乗った時、大半の乗客が話さないのを見て「ああ、これが先進国なのかな」と感じた。マナーと孤独がセットになったような光景に映った。...
View Article北京 輸入停止にも負けず
「コメを売り込む場なのに。パンフレットしか置くことができないのが残念です」 「日中国交正常化45年」記念の一環で、北京の日本大使館が日本のコメをテーマに開いたイベント。新潟の担当者は残念そうな表情を浮かべていた。...
View Article中国・大連 国産空母 自尊心高め
中国・大連で進水した初の国産空母を見ようと、市内のホテルからタクシーに乗った。 「次の空母は今、上海で造っている」「最終的に5~6隻になるんだ」と聞かれてもいないのに、運転手はよくしゃべる。「金をかけすぎだよな」と愚痴ったかと思うと「5~6隻じゃ全然足りない」とも言う。...
View Article中国・丹東 あまりにも違う光景
北朝鮮と鴨緑江を挟んで向かい合う中国遼寧省の街・丹東は5月から10月にかけて、観光シーズンだ。中国人観光客に人気なのは、国境を接する北朝鮮平安北道新義州や人々の様子を眺める「国境1日旅」や、新義州への日帰りツアー。丹東市内の旅行会社店頭には、ツアーを誘うビラがあふれ返り、客引きが盛んに声をかけてくる。...
View Article上海 蜜月の象徴ひっそり
石庫門造りの建物が並ぶ上海の観光スポット・新天地の一角に「大韓民国臨時政府」庁舎跡がある。臨時政府は1919年に、日本の植民地支配に抵抗して朝鮮半島で起きた「三・一独立運動」の後、独立運動家が樹立。上海の臨時政府庁舎は26年から32年までの間、独立運動の拠点として使われた。...
View Article北京 無残な姿 もう二度と
夕日を浴びて立つ、繊細な彫刻が施された「大水法」と称される石門は、往時のバロック式洋風建築の荘厳さを、かすかにしのばせていた。しかし、周辺のいたる所には、無数の巨石が無造作に転がっており、胸が締め付けられる。 北京北西部にある、かつて清朝の離宮として使われた、広さ約350ヘクタールに上る庭園「円明園」。その北端にあるのが「西洋楼遺跡区」だ。...
View Article北京 爆受験 公正さが第一
「高考」と呼ばれる1年に1度の大学入試が6月、中国各地で行われ、今年も940万人の受験生が参加する「爆受験」となった。 日本のセンター試験に似ているが、獲得点数によって志望校をランクごとにいくつか選び、合格する大学が決まる。中国の入試は激烈さで有名だが、受験生にとっては自分の将来が決まる重要なイベント。農村部の受験生はメディアに「今の貧しい環境を変えるには高考で頑張るしかない」と語っていた。...
View Article中国・徐州 反日感情ぶつけられ
爆発事件が起きた中国江蘇省徐州の幼稚園前で、やじ馬の住民に話を聞いていたところ、後ろにいた30歳ぐらいの女性が「日本人は歓迎しない」と唐突に口をはさんできた。 徐州は1938年、日中の激しい戦闘の結果、日本が占領した場所である。祖父母から記憶が受け継がれているのだろう。...
View Article中国・西安 「労働」後の味は格別
中国陝西省の省都、かつて長安と呼ばれた西安で昼食時、老舗とされる食堂に入った。向かいのテーブルに座っていた中年の男性が黙々と、手元の皿にあった、焼いた薄いパンを手に取って小さくちぎっては、丼に放り込んでいた。...
View Article中国・成都 二大詩人 どちら派?
「国破れて山河在り」の五言律詩で有名な唐の詩人・杜甫は、戦乱を避け四川省成都に暮らした時期、多くの詩を作った。ゆかりの建物「杜甫草堂」は成都有数の観光地となっている。 入り口の前書きには「杜甫は自分の苦難と人民の苦しみを国家の安否と結び付け、高尚な心情から創作した」とある。確かに、生活に困窮しながら腐敗した社会を憂いた詩が多いが・・・。...
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