地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)」の在韓米軍への配備に中国が反発している影響を受け、ひところは盛んだった韓国人ミュージシャンの訪中公演が許可されない状況が続く。そんな中、日本のロックバンドに同行して北京を訪れた音楽プロデューサーの知人から、当地での公演事情を聞いた。
アーティストが中国内でライブ活動をするためには、地元の文化当局に事前の申請が必要だという。演奏メンバーの人的事項に始まり、公演予定曲とその歌詞、演奏曲の順番(セットリスト)まで、通知しなければならないそうだ。
知人は「事前通知通りのパフォーマンスでないと、許されない」と言う。新曲を公演で初披露することもかなわない。ロックやジャズ、ブルースなどは聴衆の反応に応じ、曲目を変更したり、即興演奏したりすることは当たり前。しかし、「いたずらに内容を変えたりすれば、次回の公演ができなくなる可能性もある」と知人は嘆く。
政治活動ばかりでなく、音楽演奏にまで縛りがかけられるとは、何ともやるせない気持ちになる。 (城内康伸)