トヨタ自動車が上海で中国の小学生35人を対象に開いたイベントの会場は、小学校の図工室のような雰囲気だった。
子供たちは、おもちゃの車の前部に取り付けるクッションを作っていた。車体が頑丈なだけでは衝突に弱く、クッション代わりの緩衝装置が必要なことを理解してもらうのが狙いだ。
硬さが異なる数種類の紙を使って、蛇腹状にしたり円筒形にするなど知恵を絞り出す。完成後、作品を付けた車を斜面で走らせ、パソコンで衝撃を計測し優劣を競った。
「中国の小学校は詰め込み式教育なので、こういう教室は面白いはずですよ」とトヨタの程雅琴(ていがきん)さん。飽きて別のことを始める子供はいない。
モノづくりの大切さや科学の面白さを伝えようと、トヨタが取り組む子供向けの社会貢献活動は、日本国内にとどまらず、2015年からここ上海を皮切りに海外でも始まっている。
今回参加した4年生の周家宜美(しゅうかぎび)さんは「学校では教えてもらえないことを学べた」と笑顔で話した。緒に就いたばかりの活動だが、モノづくりの楽しさは中国の子供たちにもしっかり届いている。 (浅井正智)